現代の診療において主流であるBio medical model は,病気を**"健康"な状態からの逸脱**つまり"異常"と捉え,その"異常"の修正によって"健康"が回復すると捉えられる.この病理学的疾患モデルは,病気の状態を客観的に評価・測定でき,有効性を定量化することができるため非常に効率的なモデルである.
Bio medical modelでの病気の捉え方
Bio medical model は,還元主義+機械論により成り立つ.還元主義とは,疾患に対して分子まで遡り原因を突き止めていくという考え方で,見つかった”壊れているところ”を直せば病気は治るという考え方を機械論という.
還元主義+機械論
しかし,この病理学的疾患モデルを,プライマリ・ケアで扱う際には問題を生じうる.
プライマリ・ケアで扱われる問題は,複雑性が高くで未分化な問題が多いことが特徴である.つまり,還元主義的な考え方では,原因を突き止めきれず(診断基準を満たせず),どこを”直せば”よいかわからない問題に溢れている.
プライマリ・ケアでは病気がもたらす個人的・社会的影響に対しての支援を求められ,また社会的混乱がもたらす病いにも対応しなければならない.これらの問題は病態が確認できない場合があるが,それでも病気を管理しなければならい.
複雑性が高く未分化な病いの体験を扱うためには,1)エビデンス2)患者自身の病気に関する意味づけ3)医師の経験に基づいた病気に関する解釈 を統合し,エビデンスに基づく”確かな”知識を個人に適用しようとする際に生じる不確実性に対処することが求められる.これらの過程はEBMの実践における5つのStepのうち,Step4「患者への適用」で示されている.
一方で,これらの病理学的疾患モデルやEBMをプライマリ・ケアに適用する際には生じうる問題が存在する.
病理学的疾患モデルやEBMをプライマリ・ケアに適用する際に生じうる問題として