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💡 目次
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■家庭医療専門医ルーブリック■
学習目標 |
優 |
ボーダーライン |
不可 |
慢性疾患患者に対し、コミュニティや保健システムも 考慮し、患者の自己管理能力や意思決定を支援し つつ診療ができる。 |
慢性疾患患者に対し、コミュニティや保健システムも 考慮し、患者の自己管理能力や意思決定を支援し つつケアしている。 |
慢性疾患患者に対し、コミュニティや保 健システムを考慮できていない、または 患者の自己管理能力や意思決定への 支援が不足している。 |
慢性疾患患者に対し、生物医学的 な観点のケアに留まっている。 |
どんな人が下降期慢性疾患なのか?
- 主訴は一旦置いておいて、全体を評価することが必要である。どのようなシステムの中でバランスを取っていたのが、何が起きたことでバランスが崩れ、今の状態に陥っているかを評価することで、介入するべきレバレッジポイント(より少ないリソースでより大きく持続的な成果をもたらす介入場所)が見える。
- 全体を評価するツールとしてCGA(comprehensive geriatric assessment)やFM is GPモデルがある。多職種によるチームで評価(対象やセッティングによって関わる職種や連携の手段は変わり得る)することで、より包括的な評価が可能となる。評価に時間を要したり、様々な専門科との連携が必要だったり、医療機関内では評価が難しい項目も含むため、セッティングごとの工夫が必要である。
Function
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💡 **老老夫婦は支え合っている:夫と妻各々の生活機能が一人暮らしできるかどうか境界線上であっても、二人だと案外助け合ってうまく生活できる場合が多い。まず、高齢夫婦それぞれへの援助(家事援助や介護の代行などの外部支援を活用し、相手をケアする体力と心のゆとりが生じるようにする)を通して高齢夫婦のケアしあう関係をアセスメントして、**互いの理解を深め互いを確かめ合う機会を提供し互いの気持ちやケアしあうことに気づくようにする。老老世帯は夫婦を一つのユニットとしてみて機能評価し、支援ポイントを探す
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Multimorbidity(他疾患併存状態)
- 他科受診、治療内容を把握する。情報がなければ積極的に臓器別専門医と連携し情報を取り寄せる。減らせる不確実性はなるだけ減らす努力を。
- 多職種チームがBiomedicalな問題や治療計画を把握しやすいMultimorbidityに適したカルテ記載を心がける。
Intervention
- 薬物治療、生活指導、非薬物治療、サプリなどのOTC、資源となるサポート把握する。
- フォーマルなサポート 例)介護保険サービス
- インフォーマルなサポート 例)家族や友人など
Salutogenesis(健康生成論)
- 強み、健康資源、Creative Capacity、確立しているセルフケアを評価する
- 詳細は後述
Guidelines & Goals
- 適切なプロブレムリストの順位付け
- プライオリティの高い疾患のガイドラインの概要は?
- 「落としどころ」としてのゴールはなにか?
Pain, Palliation & Prevention
- 痛みの評価は?
- advanced care planningに関する対話が必要か?これから1年間の間に死亡しても不思議ではないという感覚があるか?
- ワクチンなど予防医療の適応はあるか?
下降期慢性疾患に対して介入する
包括的な評価を元に介入策を検討する
健康生成論的アプローチを行う
- 下降期慢性疾患は、基本的に徐々に身体機能低下が続くため、Simpleなケースを除き疾患のCureを目指すことがGOALとはなりにくい。治療のゴールは**「なんとなく健康な」「Well-beingな」状態であり、**疾患を抱えながらも「健康」を生成する必要がある。
- 健康とは
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💡 アボリジニの健康観:アボリジニにとって健康とは、個人の身体的な健康だけを意味するのではない。地域社会全体の社会的、感情的、文化的な健康を指す。それは各個人が人間としての潜在能力を最大限に発揮することができ、それによってコミュニティの全体的な幸福をもたらすものである
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- 参考文献・図書
- 健康生成論は、病気の原因ではなく、人がいかにストレスに対処して健康を維持するかに焦点を当てた健康理論である。ストレスと上手に付き合うことができる人ほど、健康でいられる可能性が高く、首尾一貫性を保つことができるかどうかが健康の鍵であると考えられる。
- 首尾一貫性(sense of coherence SOC)
- 健康生成論は、ストレスと上手に付き合い健康になるために
健康因を解明し強化する
- 疾患に原因があるように、健康になるためには病気がないことだけではなく、健康になるための『独自の原因』があり、この『独自の原因』を健康因という
- 健康因には日常生活の汎抵抗資源(GRRs general resistance resources) ・個別性の高い健康資源(Personal health resources)がある。各種ストレスに対処できる要因群で、人生経験の質を高めSOCを形成する。
- 心理社会的および身体的ストレス要因に直面した時、首尾一貫性が一般的な抵抗資源(GRRs)と個別性の高い抵抗資源を動員するのを助ける
- 患者の強み(GRRsと健康リソース)をも統合
ルーチンとCrietive capasityを支える
- ほぼ無意識で体が自動的に動くこと(歯磨き、エレベータにのる)がルーチン。そのルーチンを支えているのが健康である。これらのルーチンは、自己/主体の一貫性(昨日今日明日の自分は同じ自分でであるということ)の根拠となる。病気になると、身体機能の低下に伴い、このルーチンができなくなる。一方でルーチンをこなすために創意工夫をする。(ベッドの周りのコクピット化など)この創造工夫する力をCrietive capasityと呼ぶ。この創造的な工夫・Crietive capasityを支援することが、患者主体へのアプローチである。
Tips・関連論文
Community Specialist Teams for Older Persons (CST-OP) at risk of, or living with frailty in Ireland: a prospective cohort study of a new model of integrated care for community dwelling older adults - BMC Primary Care
Attitudinal barriers to psychological support-seeking among carers of people with a chronic physical health condition: A qualitative meta-synthesis - ScienceDirect